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イタリアいなかまち暮らし

イタリアいなかまち暮らし

パン

パン Pane

パンも地域によってかなり違いがあるし種類も多い。モリーセで売っているものだけを紹介しておく。参考に値段も書いておくが、それぞれ形状が違うので1斤では比較にならないため、1kgあたりの値段で書く。で、パン1kgは何食分くらいになるかというと、昼と夜とで食べる量が違うので長い説明になるが、朝はパンを食べる人はほとんどいなくて、普通家庭では昼ごはんはパスタの後に肉か魚とパンを一緒に食べたり、時にはパスタだけ食べたりするので0g~100g程度、夜は生ハム・サラミ類や野菜のオリーブ油漬けをおかずにパンを中心に食べるので100g~300gだろうか、一日昼夜あわせて平均300gとすると1kgは大人3人で一日で消費するぐらいである。

パン屋は日本では多くの場合奥に小さなオーブンがあって1日に何回も焼いては出来立てを補充する形式で売っているが、イタリアの場合パン屋でパンを焼いているわけではない。
多くの場合一箇所の大きなカマドで1日に売れる分を全て早朝に焼き、それぞれ小さなパン屋や食料品店に配分する。昔は各家庭でパン生地を作り、地域共同のカマドに持っていって焼くのが毎日の習慣だったそうだから、そのなごりだろう。
パン屋が自分の売るパンを自分で焼いていることもあるが、たいがい別の場所にカマドを持っていてそこで早朝に全部作って店に持っていく。
だからパン屋にパンを買いに行っても、日本のように焼きたてがいつでも買えるわけではない。

パンやピッツァは、クロワッサンやパイ、焼き菓子にも言えることだが、南イタリアでは日本と比べてしっかりしっかり焼く。さらに菓子類でもバターはごくごく控えめ、あるいは代わりにマーガリンかオリーブ油を入れるだけなので、ぱさぱさなのだ。相方いわくオーブン物は表面がカリッ!としてなきゃ南イタリア人には受け入れられないそうで。私にはカリッ!じゃなくバリリッ!!に感じられるが。
もちもち食感のパンになじんでいる私たちにはイタリアの焼き加減はちょっと受け入れられない。ちなみに相方は日本のモチモチ厚切り食パンの大ファンである。

普通のパン pane normale(こちらでは1kgあたり2ユーロ前後。都会ではこの2、3倍)
南イタリアでは食事をするときに最も普通に食卓に上る、地元の人々が最も慣れ親しむ食事パン。強力粉かデュラム小麦粉の大きな(直径30~40cmくらい)丸い塊を大きなかまどで焼く、ゴッツいパンだ。
だいたい一個が1kgぐらいになるように作られている。それを「半分」「4分の一くらい」とか言って買い求められる。

特に名前がないらしくて、パニョッタ(pagnotta)とか、自家製パン(pane casareccio)とか言われる。普通のパン(pane normale)と言っても通じる。
よく焼けたものを好む人が多いため、濃い茶色である。相方の実家では中でもよくよく焼けたものをわざわざ選んで買うらしくて、こげ茶色になっている。耳は食べると当然焦げた味がする。
burned bread.jpg

外側つまり耳に近い部分はごわごわで硬い。イタリア人はこの焦げた耳だけ食べて白い部分を残す人が多い。耳の部分がおいしいというのだが、私に言わせると日本のフランスパンと比べると全然うまみがない。

また、やや酸味があるのが気になる。酸味のないのもあるがたまにものすごくすっぱいパンに出会う。
これはどうも醗酵過程から来るらしい。

というのもこちらのパン屋は、酵母菌(イースト)を直接生地に入れるのではなく、「酵母の母」といって何十日も寝かせて酵母菌をいっぱいに増やした生地を新しい生地に混ぜ込んでさらに1日寝かせる。そうすると酵母菌が新しい生地の中でまた増えてパン生地になる(醗酵する)。このパン生地を焼く前にちょっと一片取っておいて、それが何十日もかけてまた酵母の母になり、新しい生地に混ぜ込まれるわけだ。
この酵母の母が昔から絶やさずに続けられてきたものかどうかは製造者によるが、これが日本では自家製酵母と言われもてはやされる。

しかしこの過程で少しづつ酵母とともに乳酸菌だかも育っていて、それですっぱいのではないかと私は推測しているのだ。

ともかくこの普通のパンは私は苦手で、ホントの焼きたて(朝買ってきて昼ごはんに食べるとか)ならまだ何とか食べられるのだが、ちょっと時間が過ぎるとごわごわ感しか感じられない

ロゼッタ rosetta(1kg2.70ユーロ前後)
それで私が上記のごわごわパンの代わりによく買うのがロゼッタ。又の名をパニーノ(panino)という。ちなみにサンドイッチもパニーノ(複数でパニーニ)だが指差しながらいえば問題ない。
このあたりではあまり親しまれていないようだが、ローマでは逆にこれが基本の食事パンなのだそうだ。直径10cmほどで丸い亀の甲羅のような形をしていて、中が空洞になっている。バゲットの耳に近いような生地でできている。

これは良いパンを作ってるところのものか、出来立てのものだととてもおいしい。火の通りが早いせいかそれほどしつこく焼かれていなく、色はキツネ色。しかし残念ながら乾燥するのが早いので買うときに注意しないとパサパサの物をつかまされる。というか本当においしいものを売っている店を見つけるのに苦労する。普通白(bianco)と全麦(integrale)の2種類がある。

パネピッツァ pane pizza(1kg約3ユーロ前後)
あとよく買うのは、パネピッツァと呼ばれるもの。生地はフォカッチャによく似てるのだがいわゆるフォカッチャの形をしていない。ぽつぽつの孔もないし、丸いかドーナツ型。焼き加減ははキツネのもうちょっと茶色に近い色。よく似た生地だがもう少しフォカッチャに近い四角い「チャバッタ(ciabatta)」というパンもある。

以上のパンはいずれもパン屋(panetteria)か食料品店(alimentari)で店員の後ろの壁に並べられて売っているので、パンの名前を言うか指を差してあれ頂戴といって買う。
店員の手前にはクロワッサンやミルクパン(pane al latte,ハンバーガーのバンズみたいなものだが、名前だけはおいしそうなもののパサパサなものが多い)がパン屋の袋に入って売られている。
大きなスーパーではパン屋(製造者)別で売っている。
 
食パン pancarré
実は私、最近パン屋のパンもあまり食べなくなって、もっぱらスーパーで食パンを買っている。
まず、イタリアではパン屋では食パンを焼かない。パン屋でもスーパーでも売っている食パンは全て工場製の袋入りである。しかも最近までこの食パンというものはパサパサで、ちぎるとボロボロボロッと崩れるようなシロモノで、数年前一度食べたきりもう絶対買わない!と決めていた。
しかし2年ほど前にいつの間にかあるメーカーの商品が大きく改善+新しい種類が出たみたいで、買ってみるとおいしかった!もちもち感は日本の食パンと変わらない!ただし相変わらず薄切りなので、2、3枚重ねて焼いて、重ねたまま食べる。
これはMulino Biancoという商標のpan baulettoという商品(一袋400gで0.95ユーロ)。この商標はある有名なパスタや小麦粉のメーカーのパン・ケーキ類ブランド。

食パンを買うときの注意として、賞味期限に注意するのはもちろん、袋の上から触ってみてパサパサ感を感じるようだったら買わない。都会では知らないがこの辺の人たちは普通、パン屋で焼かれたパンしか買わないので、特に小さい商店などでは棚に並べられたものの誰も買わないまま日にちがたったものがある。(この人たちは商売感覚が日本とはまったく違っていて、たとえ賞味期限前日になっても安売りしようとはしない!)なので食パンはなるべく大型スーパーで買ったほうがいい。とはいってもこのブランドのパンはなかなか売れ行きが良いようだ。

それで最近食パンしか食べないのは、食パンが改善されたこともあるが、最初のうちはパン屋のパンも種類を変えてはおいしいと食べていたのだが、すべてのパンに共通するあのごわごわ感がだんだん嫌になってきて食べなくなった。毎日、少なくとも夕食はパンを食べないと落ち着かないイタリア人の生活とはかけ離れている。(幸い相方はすっぱいパンだろうが食パンだろうがご飯だろうがなんでも平気なよう。ただし実家から大好物の地元産のサラミをもらってきたときだけはパンの方を好むと申しております)

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